今日、7月3日は、愛犬はなの命日です。一年前の今日、はなは天国へと旅立ちました。そして同じ日の夕方、ゆなとみなが私のお腹に宿っていることが判明したのでした。まるで昨日のことのようですが、もう一年経ったのですね。はなは、私の実家で飼われていた犬です。その頃私の実家は、神戸にありました。私が生まれ育った町です。はなは私達、本当の子供が成人した頃、その位置を埋めるかのように家に来たのです。知り合いの人から訳あって飼えなくなった犬がいると聞いて、父と母がもらいに行ったとのこと。今まで犬なんて飼ったことがないふたりが突然子犬をもらってきたのです。驚きました。その日からふたりははなを子供のように育てました。愛情をかけて躾をして。ときには甘やかして。犬って愛情をかければかけるほど、それに応えようとするのですね。はなは、新聞を父に渡したり、ロープを持ってきて散歩をねだったり家族のかけがえのない一員となったのでした。そして若かったはなも年をとり、すっかり落ち着いてきた頃、父が闘病生活わずか5ヶ月で他界しました。最後まで父が治ると信じて看病を続けた母の落ち込みは見ていられないぐらいのものでした。もう家を出て夫と暮らしていた私は、いったん実家に戻りましたが、悲しみが癒えるには相当の時間がかかるだろうと思っていました。それまでずっと実家にいるわけにはいきませんでした。やがて週末ごとに実家に帰るようになり、平日は母とはなだけの毎日になりました。そう、はなは変わりました。何も言わず、ただただ母のそばにずっといました。一日中カーテンが開かない日もありました。暗い部屋の中で、ちょっとしたことで泣いてばかりの母でした。もちろん散歩も行ってませんでした。犬にとって、決まった時間にご飯を食べて決まった時間にお散歩に行ってというサイクルを崩されるのは大変なストレスだったと思うのです。それでも文句も言わず、ただ待っていたはな。はなは、本当にえらかったね。少しづつ母が立ち直って、散歩に行くようになり、はなと会話し、はなとともに生活を始めて一年とちょっと、はながもう寿命が長くないことが判ったのです。私は、とにかく母のことが心配でした。やっと父の死から立ち直り始めていたのに、ここではなが死んでしまったらどうなるのだろう?大丈夫だろうか?また一人(匹)、家から家族が去ってしまうのです。そして今度こそ、一人暮らしになってしまうのです。一人になるって辛いことですね。朝起きて「おはよう」と言う、ごはんを食べて「おいしいね」と言う、それだけのことを言い合える人(犬)が側にいるということは、とても幸せなことなのですね。そんな心配とともに、はなの容態はどんどん悪くなっていきました。6月に入って、もう歩くのもやっと。ご飯を食べることもできなくなり、ついには寝たきりになりました。その状態で半月以上、はなはほとんど意識がないなかで、母の声にしか反応しなくなっていました。もう頑張らなくても楽になってもいいよ、と何度も思いました。でもはなは驚異的ながんばりで、7月を迎えたのです。そして3日の午前0時10分、母の腕のなかで、眠るように旅立ちました。私も週末毎に実家に来ていたのでそのときに立ち会いました。最後の鼓動が感じられなくなった瞬間を覚えています。・・・・・終わった。遺骨を抱いて家に帰ってきたとき、私も母もそんな感想でした。はなの容態を心配し続けた日々が終わりをつげ、心にぽっかり穴があいたよう。母のことが心配ながらも、自宅に戻った私、そういえば今日が予定日であることを思い出しました。これまで8回ほど、落胆の月を過ごしていたので、あまり期待をせずにいたのです。でも少しドキドキしながら検査をしたところ、はじめて、本当にはじめての陽性反応でした。直ぐに母に電話しました。母は電話口で泣いて、喜んで、その喜びの声からはきっと母はこれで大丈夫と私に確信させるものがあったのです。ねえ、はな。わかっていたのかな?そんな訳はないとは思うけれど、この日まで頑張って生きていたのは、偶然なのかな?だから安心したかのように、最後はすやすやと逝くことができたのかな。今は天国で父さんのそばにいるでしょうね。はなのことだから、すぐに見つけ出せたでしょうね。ねえ、父さん。口には出さずとも自分がいなくなった後のことが心配でしたよね。はなは立派に母の支えになりましたよ。今は一緒にいますか?父さんがいなくなったことも、はなは理解していたようでした。でも、夕暮れの散歩中、駅から坂を上ってくるスーツ姿の人影が見えるとはなは必ず立ち止まってじ〜っと見てました。近くに来るまでずっと。家族に忠実で優しい犬でした。そして、ゆな、みな。あなた達の存在がわかった日、私達は二度の涙を流しましたよ。悲しみの涙と嬉しさの涙。悲しみを打ち消すだけのパワーが、まだヒトの形もしてなかったあなた達の存在にありました。かけがえのない命の存在が、一人の人間の生きがいになりえるのですよ。今、おばあさんは、あなた達の世話を一生懸命してくれています。そのことを、忘れてはいけませんよ。母よりもおばあさんを大切にしなさいね。それが、命を継いでいくということです。今ある命を大切に、そして未来に命を継いでいってくださいね。そんなことを教えられたのも、はなからなのですよ。それも忘れないでくださいね。はな、一年経ちました。毎年、お祈りは続けますけれど、悲しむのは今日で終わりにします。はな、本当にありがとう。ご訪問ありがとうございました。最後まで読んでいただいて感謝します。また次への期待をこめてポチッポチッと押してくださいね 感謝、感謝デス♪